不動産鑑定士 Real Estate Appraiser

Real Estate Appraiser
Hudousan

こんな仕事内容

不動産鑑定士の仕事は、不動産の価値を判定・評価することです。

売買・交換・担保・贈与など、依頼人からの様々なニーズに応じて、不動産鑑定士は土地や建物の価値を判定し、コンサルティングをおこないます。

具体的な仕事内容としては、依頼主が公的機関の場合であれば、「相続課税の評価」「固定資産税課税のための評価」「競売のための評価」などです。

不動産鑑定士が定めた評価が、国や県が公表する公的な土地の価格を算出したり、銀行が融資する際の担保評価をしたりする際の、重要な情報源となります。

民間企業からの依頼であれば、「売買の評価」「家賃の改定のための評価」「再開発事業のための評価」などのような仕事があります。

土地であれば立地や地形や法令上の制限などにより、価値が変わります。さらに建物の場合には面積や用途、加えて構造や築年数などの要素が、価値に影響を及ぼします。そのため一般の人が複数の要素を考慮して、価値を算出するのは非常に困難です。

不動産に対する高度な知識を持つ不動産鑑定士が調査を行うことで、適切な価値を導き出すことができるのです。不動産鑑定士の仕事は不動産の価値を評価するだけでなく、不動産に関するコンサルティングや不動産の運用なども、重要な仕事となっています。

気になる年収は?

厚生労働省による令和元年度賃金構造基本統計調査によると、不動産鑑定士の平均年収は、46.6歳で「約755万円」となっています。

40~44歳までが762万円、45~49歳までが723万円、50~54歳までが841万円、55~59歳までが418万円という結果となりました。

ただこの調査はサンプル数が少ないため、実態が反映されていない可能性もあり、あくまでも参考程度の数字となります。

この数値からすると不動産鑑定士のお給料は、一般的なサラリーマンよりも高めであるといえますが、不動産鑑定士の初任給は、一般的な大卒者とほぼ同じ水準である、約20万円です。

不動産鑑定士になるためには筆記試験に合格した後、1~2年の実務修習期間が課せられており、実習単位を取り終わるまでに2~3年を費やすケースも多いようです。単位を取り終わるまでは「見習い」の状態であるため、仕事を始めて数年間は、あまり高い収入は見込めないといえるでしょう。

年収のイメージ

AIやロボットに代わる確率

テクノロジーによる影響

近年やチャットボットや自動音声会話技術の発展により、AIが自動的に宿泊先を手配したり、簡単な電話の対応ができるようになりました。将来的には、これらの技術の発展により、大きな影響を受けると思われます。

「働き方」と将来性

不動産鑑定士の働き方には、企業に勤めて企業内鑑定士として働くか、または独立開業して事業を始めるかの、二通りあります。

企業に勤める場合は、不動産会社や信託銀行、生保や損保会社などに勤めるのが、一般的となっているようです。

また不動産会社やその建設会社において、マンション再開発プロジェクトなど、専門性を発揮できる職場で活躍する人もいます。その他にも信託銀行を代表する金融機関、官公庁、鉄道会社など、幅広い分野での活躍が可能です。

独立して事務所を構える場合は、自分の営業能力により仕事量は大きく変わってきます。企業に勤める場合とは違い、常に一定の仕事量を得られるとは限らないため、忙しさには波があるようです。仕事量が安定するまでは苦しい状況に陥ることもあるかもしれませんが、努力次第では高い収入を得ることも可能です。ただし都市部や地方に関係なく、ほとんどの地域で既存の不動産鑑定士によりマーケットが抑えられているため、新規参入は非常に厳しい状況だといえるでしょう。

不動産鑑定士の将来性については、決して楽観視はできません。

不動産鑑定制度は、公共事業と共に発展してきました。昔ですと各役所が行う公共用地等の買収の際に必要でしたし、近年では、競売・公売・固定資産税評価などの仕事に需要が高いようです。

しかし公共事業はいつまでも無限にあるわけではありませんし、人口の減少により、固定資産税評価などの仕事も減っていくでしょう。これらの既得権といってもいいような業務のみに依存し続けると、先細りは否めません。

高齢化が加速する現代においては、相続や贈与に関する相談などは、増加傾向にあります。相続した不動産の取引を行う場合、知識や情報量の多い不動産業者が話を有利に進めるケースが多いようです。不動産鑑定士はこうした取引に専門家として参加し、相続を円滑に進めるために交渉したり、相続人と不動産業者が対等な立場で交渉できるようアドバイスをしたりすることで、新たな仕事の開拓ができます。今後はこのような新たな仕事を獲得するための営業力も、必要となってくるのではないでしょうか。

資格とキャリアステップ

不動産鑑定士は弁護士や公認会計士や司法書士と並んで、高い難易度の国家資格です。かつては大卒などの受験資格が定められていましたが、2006年から撤廃され、現在では年齢や学歴に関係なく誰でも受験できます。

試験は「短答式」の試験と、「論文式」の2段階でおこなわれ、短答式試験に合格した人だけが、論文式試験を受験できます。論文式試験に合格すれば、不動産鑑定士試験は合格です。

不動産鑑定士は難易度の高い試験ではありますが、最近では合格率が徐々に上がっており、令和元年の合格率は「短答式試験の合格率が32.4%」「論文式試験の合格率が14.9%」となっています。

そして晴れて試験に合格しても、不動産鑑定士は合格後、すぐに業務がおこなえるわけではありません。資格を活用し業務をおこなうためには、「実務修習」を受けなければならないのです。試験合格後は研修生として不動産鑑定士事務所などに所属し、働きながら実務の講義を受け、知識や実務能力を身に着けていきます。また現役鑑定士からの指導を受けながら、基本演習や実地演習を通じて、鑑定評価報告書の作成手順を学びます。

全てのカリキュラムを終えると、「終了考査」を受験することが可能となり、その終了考査に合格すると、各都道府県の不動産鑑定協会に実務家として登録でき、不動産鑑定士として働くことができようになるのです。

その後は不動産鑑定士として働く中で、さらに知識を身につけて独立し、不動産鑑定士事務所を開業する人もいます。また査定だけで物件を運用する不動産ファンドの運用担当に転職する人もいれば、金融系として大手の銀行や信託銀行で活躍する人もいます。

日本の不動産鑑定士はアメリカの制度を参考にしているので、英語ができればアメリカへわたり、グローバルに活躍することも、可能な職業であるといえるでしょう。

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